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生前に預金口座からまとまったお金を引き出す際は要注意!■2021年4月更新■

2019.07.20

※本レポートは、2021年4月に内容を更新しています。 

亡くなる直前に様々な理由で預金口座から現金を引き出しすることは多いものです。

「相続したら預金が凍結されるらしいので、葬儀費用などの支払などのためにお金をおろしておこう」、
「相続税が心配。預金を少なくするためにお金をおろしておこう」など理由は様々です。

預金から引き出すこと自体は問題ないのですが、相続税申告では過去の引出が論点となり、税務署から指摘を受けることが多々あります。
そのため、相続税申告をする際は、過去の預金取引の調査は必須です。弊社は最低でも6年は確認します。

 相続後に、引き出したお金の使途を相続人がすべて説明できればよいのですが、「被相続人が管理していたためわからない」、「何のためにおろしたか覚えていない」などそのお金が何に使われたのか、どこへ行ったのか特定できないことが往々にしてあります。1つ1つの出金について、これは生活費なのか、証券や保険など他の財産になっているのか、相続人が私的に使用または贈与(貸付)したのか、もしくは現金が自宅にある!?など、相続人にヒアリングしながら確認していきます。

 

以下、2つの例をみてみましょう。

過去の預金の取引履歴を調査したところ、約2年前から100万円の出金が数回あり、その合計額は1,000万円に及んでいた。

 ■ケースA 

乙(被相続人)は施設に入っていたため、甲(相続人)が預貯金を管理しており、乙に無断で出金していた。500万円については乙の生活費(約20万×24月)に充て、300万円については甲の子の教育費に充てた。残りの200万円については、何に費消したか記憶にない。

 ■ケースB 

甲(相続人)は、乙(被相続人)の身の回りの世話はしていたが、乙の預貯金は乙自身が管理しており、1,000万円の出金については全く知らない。その他の相続人も全く知らないという。なお、自宅の金庫を確認したところ、現金が300万円あった。

 

1.ケースAについて

 これらの使途について、「贈与」にあたるものがあるか否かを検討します。

「贈与」は、民法上、贈与者と受贈者との間に「あげた」「もらった」の意思の合致があってはじめて贈与契約が成立するとされています。したがってケースAでは甲は乙に無断で出金しているため、贈与契約は成立しないことになります。

 しかし、税務上は、民法における贈与契約がある場合だけでなく、経済的利益を受けた場合にも「みなし贈与」として扱われることがあります。

 まず、乙の生活費に充てた500万円は、甲が経済的利益を受けていませんので、「みなし贈与」に該当することはないでしょう。次に、300万円の教育費及び200万円の使途不明金についてはどうでしょうか。結論からいうと、両方とも「みなし贈与」として扱われる可能性があります。「教育費や使途不明金もみなし贈与になるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんね。

 教育費については、扶養義務者間の生活費や教育費は贈与税が非課税とされており、孫も扶養義務関係にあるため、一見贈与にはあたらないように思います。しかし、甲の子につき扶養義務を負うのは第一次的には親である甲自身であり、甲が扶養義務を履行できないといった特段の事情がない限り、乙が負担したことにより甲は教育費の拠出を免れたといえます。また、甲は無断で出金しており、乙の教育費としての贈与意思も確認できていないため、甲自身が経済的利益を受けたとみることができます。

 次に、使途不明金についてですが、何に費消したか記憶がない以上、甲が経済的利益を受けたとはいえないようにも思います。しかし、甲が預金口座を管理していたのであれば、使途を具体的に明らかにできない限り、甲が費消したことが推認され、「みなし贈与」に該当するとされた判例があります。

 みなし贈与とされたものについては、相続開始日前3年以内に被相続人から受けた贈与にあたるため、相続税の課税価格に加算されることになります。


2.ケースBについて

 ケースBは、乙の金銭感覚はしっかりしており、預金口座の管理を全く他人にさせていなかったケースです。相続人に確認しても、全く知らないとのことで、その使途を認識していません。このような場合は、相続人がこれらの出金された現金を取得ないし費消した事実が認められないのであれば、贈与やみなし贈与があったものとする必要はありません。ただし、現金として自宅の金庫にあった300万円は、当然に手許現金として相続財産になります。

 なお、被相続人の生前の出金の使途が不明なケースは多々ありますが、話を聞くと、被相続人に旅行などの趣味があり、それに費消されたことが推認される、数年前に自宅のトイレを改修していたなど事情があることがほとんどです。そのため、このようなケースにおいても、可能な限り調査し、それを裏付ける資料等の収集に努めることが非常に重要です。


3.まとめ

 過去の引出の内容は、時間が経つとどんどん忘れていくものです。相続税申告の際に困らないように、生前にまとまって引き出した預金はその内容を通帳に記載しておくなど、使途がわかるようにしておくとよいでしょう。

筆者紹介

石塚 由紀
税理士法人アイユーコンサルティング 相続・事業承継コンサルティング部 部長
九州北部税理士会
税理士

税理士登録番号:118610
出身:1984年生まれ 千葉県船橋市出身
学歴:専修大学松戸高校、明治大学商学部卒業

略歴
大学院卒業後、国内大手税理士法人の東京本社に入社し、相続税申告、事業承継、企業価値評価、内部統制、上場企業対応等を経験。
入社3年目に同税理士法人の福岡事務所開設にあたり、地方でも東京と同質のコンサルティングを提供したいとの想いから福岡事務所に異動。
福岡事務所ではマネージャーとして、年間20件を超える相続税申告を受注し、相続・事業承継コンサルティングを中心に、
組織再編、M&A、上場会社の申告、移転価格などの案件を担当。その他、金融機関のセミナーや共著出版を行う。

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